[いわれおしえ宗旨おこないやすらぎ]

本門の本尊本門の題目本門の戒壇

 「あなたのお宗旨は何ですか?」「私の家の宗旨は浄土真宗です。」というように、一般社会では「宗旨」は宗教法人名をさすと思われがちです。しかし、宗旨とは本来その宗教や宗派の要旨、言い換えると教えの根幹そのものをさします。日蓮宗の宗旨といえば、このあとでお話しする三大秘法のことをいいます。ところで先の[おしえ]のところで説明しました五綱の教判によって絞り出されたところの妙法蓮華経の五字。この究極の大真理も、生命体を媒介としてはじめて南無妙法蓮華経となるのです。日蓮大聖人は南無妙法蓮華経を「一大事の秘法」とも表現されました。またその一大事の秘法が三に分かれて三大秘法となります。ですから五綱の教判とこの宗旨の三大秘法との関係は、譬えていうと五綱は料理の献立表であり、三大秘法はでき上がった料理そのものといえます。宗旨の「旨」という字には「うまい」「あじわい」という意味があるのです。ついでに他の項目も料理で譬えると、[いわれ]は料理の名前の由来。[おこない]は料理の食べ方。[安らぎ]は料理を食べ終わった後の満腹感か?

 さて、三大秘法ですが、上の『法華取要抄』の中でも述べられているように、本門の本尊本門の題目本門の戒壇をいいます。「三大秘法」という名目ですが、『三大秘法禀承事』という書物の中で述べられ、他の表現としては「本門の三つの法門」「寿量品の事の三大事」とされています。この「秘法」の「秘」ですが、一般にいう秘密だとか「ひそかに」とうい意味ではありません。この場合とても深いとか、はかりしれないという意味です。またその根拠は、『法華経』の第16章如来寿量品の汝等あきらかに聴け、如来の秘密・神通の力を」という経文にあります。なぜ、一大事の秘法である南無妙法蓮華経が三つに分かれるのか。結論からいって、その寿量品のところで、久遠本仏の真理面[仏教用語では法身(ほっしん)]・智慧面[同じく報身(ほうじん)]・慈悲面[同じく応身(おうじん)]の三面性が一つにもなるしまた三にもなり(それを相即するという)、しかも本来無始無終である法身はもちろん、有始無終である報身、有始有終である応身もすべて永遠であることが説かれ、その三面性が三大秘法となるのです。

 すこし難しい説明になりましたが、皆さんは「三蔵法師」のことを知っているでしょうか。そう、あの孫悟空に出てくるお坊さんです。でも三蔵法師とは固有名詞ではなく(孫悟空に出てくる三蔵法師は玄奘三蔵)、経・律・論の三蔵という仏教典籍を印度に取りに行って、中国へ持ち帰り翻訳する僧侶のことをいいます。また、その三蔵を学ぶことによって禅定・戒律・智慧の三学を学ぶのです。つまり仏教では、戒・定・慧(かいじょうえ)の三学といって、どうしも修業して身につけなければならない必須科目です。すなわち私たちの実社会の中においては、禅定信仰の対象であり、智慧は信仰の主体であり、戒律は信仰の道場です。それぞれは、三大秘法にいう本門の本尊本門の題目本門の戒壇なるわけです。もっと具体的にいうと、日蓮宗の宗旨とは、大宇宙をはじめ一切を包括する久遠実成本師釈迦牟尼仏の実体いわゆる大曼荼羅理想の根源とし、その久遠本仏の智慧は上行菩薩を経て南無妙法蓮華経という信念の源泉を得、身延山久遠寺が世界中をはじめ日本の大多数の人々の行動の原点となるように参拝することです。なお詳しいことは、それぞれ三大秘法の各論で説明いたします。

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