[いわれおしえ宗旨おこないやすらぎ]

日蓮大聖人

 このお言葉は、日蓮大聖人の『妙密上人御消息』というお手紙の中で述べられています。そもそも大聖人は比叡山で十二年間ご修行されました。ご自身も途中まで「天台沙門日蓮」と名乗られ、52歳の時の『法華宗内証仏法血脈』では「法華宗比丘日蓮」と書かれています。そのすぐあと書かれた『観心本尊抄』では「本朝沙門日蓮」と述べられています。また身延山に入られて書かれた『撰時抄』では「釈子日蓮」とされています。つまり「日本の日蓮」「仏弟子日蓮」という意味です。ですから、宗教法人「日蓮宗」という名称は大聖人のお心持ちからやや遠い宗教法人名かといえるでしょう。

 日蓮宗という宗名は明治時代になってから公称されたもので、本来ならばその所依の経典『妙法蓮華経』をそのままとって妙法蓮華経宗とするか、あるいは法華経宗や法華宗とする方がより大聖人の意にかなっているでしょう。ただし明治以前は、現在の比叡山の日本天台宗を「天台法華宗」や単に「法華宗」と称した時代があり、日蓮衆徒が「法華宗」という名称を使えなかった時代背景があります。あの有名な戦国時代の法華一揆もその辺の問題から起こったともいわれています。ところで最近では、日蓮宗という名を法華宗にかえてはどうかという意見が宗門内にあります。「法に依って、人に依らざれ」の大聖人ですから、宗名を法華宗に変更するのは結構なことですが、同じ日蓮門下の中には、たとえば法華宗本門流などすでに宗教法人名として使われていますので、現時点では法律上なかなか難しいかもしれません。まあ、いっそのこと、日蓮門下が一つにまとまってしまえば話は早いわけですが・・・。否、いちいち日蓮宗何々派や法華宗○○派というのも面倒だから、みんなでまとめてしまおう。

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